「DHA・EPAのサプリは認知症予防にいいの?」 「イチョウ葉エキスって本当に効果があるの?」 「種類が多すぎて、何を選べばいいかわからない」
認知症予防を意識してサプリを探し始めると、情報が多すぎて迷ってしまいますよね。
ですが残念ながら、認知症を完全に予防できるサプリは、現時点ではありません。
ただし、脳の健康維持に関わる成分はいくつかあり、食事・運動・睡眠などの生活習慣と組み合わせることで、補助的に取り入れる選択肢にはなります。
この記事では、調剤薬局・在宅医療を経験した薬剤師として、認知症予防サプリとしてよく聞くDHA・EPA、イチョウ葉エキス、ビタミンB群、ビタミンDの考え方と、選ぶときの注意点をお伝えします。
大前提|サプリだけで認知症を防げるわけではありません
まず大切なのは、サプリは薬ではありません。
認知症を治したり、確実に予防したりするものではなく、あくまで食事で不足しがちな栄養を補ってリスクを少しでも減らそうとするものです。
① 誤解しやすいポイント
認知症予防サプリについては、次のような誤解に注意してください。
・サプリを飲めば認知症を防げる
・高いサプリほど効果が強い
・たくさん飲むほど脳によい
・薬より自然だから安全
・飲み始めてすぐ効果がわかる
特に、薬を飲んでいる方がサプリを追加する場合、飲み合わせに注意が必要なものもあります。
「サプリだから安全」と決めつけず、薬を使っている方は医師や薬剤師に確認してください。
② サプリは生活習慣の補助として考える
認知症予防で土台になるのは、食事、運動、睡眠、社会とのつながり、生活習慣病の管理です。
その土台をしっかりさせてから、不足しがちな栄養素を補うような感覚で使用するのがよいでしょう。
DHA・EPA|魚を食べる機会が少ない方の補助に
DHA・EPAは、サバ、イワシ、サンマなどの青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸です。
脳や血管の健康に関わる成分として、認知機能との関連も研究されています。
① DHA・EPAに期待されること
DHA・EPAは、次のような働きをすることが知られています。
・神経細胞の膜の健康を支える
・血流や血管の健康維持に関わる
・炎症を抑える方向に働く
・魚を食べる習慣の少ない方の栄養補助になる
ただし、「DHAを飲めば認知症を予防できる」と言い切れるものではありません。
魚を含む食事全体、運動、生活習慣病の管理などと合わせて考えることが大切です。
② DHA・EPAサプリを選ぶポイント
選ぶときは、次の点を見てください。
・DHAとEPAの含有量がはっきり書かれている
・1日量あたりの成分量がわかりやすい
・魚臭さを抑える加工がされている
・続けやすい価格と粒の大きさ
・ビタミンEなど酸化対策が考えられている
DHA・EPAは油の成分なので、品質管理も大切です。
また、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方、手術や抜歯を控えている方は、使用前に医師や薬剤師へ相談してください。
イチョウ葉エキス|飲み合わせに注意したい成分
イチョウ葉エキスは、脳の血流や抗酸化に関わる成分として知られています。
ヨーロッパでは医薬品として使われている国もありますが、日本ではサプリメントとして販売されています。
① イチョウ葉エキスに期待されること
イチョウ葉エキスには、次のような働きが期待されています。
・血流をサポートする
・抗酸化作用に関わる
・記憶力や集中力の維持をサポートする可能性がある
ただし、これも「飲めば認知症を防げる」というものではありません。
認知症が疑われる症状がある場合は、サプリで様子を見るより、まず医療機関に相談してください。
② イチョウ葉エキスで特に注意したい人
イチョウ葉エキスで特に注意したいのは、飲み合わせです。
次に当てはまる方は、使う前に必ず医師や薬剤師へ相談してください。
・ワーファリンなどの抗凝固薬を飲んでいる
・バイアスピリンなどの抗血小板薬を飲んでいる
・出血しやすい体質がある
・手術や抜歯を控えている
・複数のサプリを併用している
「自然由来だから安全」と思われがちですが、体に作用する成分だからこそ注意が必要です。
ビタミンB群・ビタミンD・ルテインの考え方
DHA・EPAやイチョウ葉以外にも、脳の健康維持に関わる成分はいくつかあります。
ただし、どれも単独で認知症を防ぐものではありません。
不足しやすい方が、必要に応じて補うという考え方が大切です。
① ビタミンB群
ビタミンB6、B12、葉酸は、ホモシステインという物質の代謝に関わります。
ホモシステインは、増えすぎると血管や神経に悪影響を与える可能性があるとされています。
ビタミンB群が不足しやすいのは、次のような方です。
・野菜、豆類、魚、肉の摂取が少ない
・高齢で食事量が減っている
・胃の手術歴がある
・菜食中心で動物性食品が少ない
特にビタミンB12は、加齢や食事内容によって不足しやすくなることがあります。
② ビタミンD
ビタミンDは、骨の健康だけでなく、筋力や免疫、脳の健康との関連も注目されています。
不足しやすいのは、次のような方です。
・外出が少ない
・日光に当たる機会が少ない
・魚、卵、きのこをあまり食べない
・高齢で食事量が少ない
在宅医療の現場では、外出機会が少ない高齢者でビタミンD不足が心配な方をよく見かけました。
ただし、ビタミンDは脂溶性ビタミンで、体に蓄積されやすい成分です。
過剰摂取により、高カルシウム血症などのリスクがあるため、複数のサプリを重ねて飲む場合は注意してください。
③ ルテイン・ゼアキサンチン
ルテインやゼアキサンチンは、目の健康をサポートする成分としてよく知られています。
近年は、目と脳の健康との関連も注目されています。
ただし、認知症予防を目的とした効果については、まだ研究段階と考えたほうがよいです。
目の健康も気になる方が、栄養補助として選ぶ成分のひとつと考えるとよいと思います。
成分別の比較|期待されることと注意点
主な成分を整理すると、次のようになります。
| 成分 | 期待されること | 注意点 |
|---|---|---|
| DHA・EPA | 魚由来の脂質で、脳や血管の健康維持をサポート | 血液をサラサラにする薬との併用に注意 |
| イチョウ葉エキス | 血流や抗酸化をサポート | 出血リスクや手術前に注意 |
| ビタミンB群 | ホモシステイン代謝をサポート | 過剰摂取や重複に注意 |
| ビタミンD | 骨、筋力、脳の健康維持に関わる | 脂溶性のため摂りすぎに注意 |
| ルテイン | 目の健康サポート、脳との関連も研究中 | 認知症予防の効果は研究段階 |
この表は、「どれが一番効くか」を決めるものではありません。
自分に不足しやすいものは何か、薬との飲み合わせに問題がないか、続けやすいかを見て選ぶことが大切です。
サプリより先に整えたい生活習慣
認知症予防を考えるなら、サプリより先に整えたいことがあります。
それは、運動、睡眠、食事、社会とのつながり、生活習慣病の管理です。
| 生活習慣 | 意識したいこと |
|---|---|
| 運動 | 散歩などの有酸素運動を習慣にする |
| 睡眠 | 睡眠不足を放置しない |
| 食事 | 魚、野菜、豆類、発酵食品を取り入れる |
| 社会参加 | 会話、外出、趣味、地域活動を続ける |
| 持病管理 | 高血圧、糖尿病、脂質異常症を放置しない |
| 禁煙 | 喫煙は血管や脳の健康に悪影響を与える |
サプリを飲んでいても、運動不足、睡眠不足、孤立、生活習慣病の放置があると、脳の健康を守ることは難しくなります。
まずは、できる範囲で生活習慣を整えることが基本です。
そのうえで、不足しやすい栄養を補うものとしてサプリを使うと、無理なく続けやすくなります。
サプリを選ぶときの注意点
サプリを選ぶときは、効果だけでなく安全性を確認してください。
① 薬との飲み合わせを確認する
特に注意したいのは、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方です。
DHA・EPA、イチョウ葉エキス、ビタミンEなどは、出血リスクとの関係に注意が必要です。
ワーファリン、抗凝固薬、抗血小板薬を飲んでいる方は、購入前に医師や薬剤師へ相談してください。
② 複数サプリの重複に注意する
「脳によさそう」と思って複数のサプリを組み合わせると、別物だと思っていても同じ成分を重ねて摂ってしまうことがあります。
特にビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンは、体に蓄積されやすいため注意が必要です。
成分表を確認し、同じ成分が重なっていないか見てください。
③ 過大な広告に注意する
「認知症が治る」
「飲むだけで予防できる」
「記憶力が劇的に戻る」
このような表現には注意してください。
サプリは薬ではありません。
不安につけこむような広告ではなく、成分量、品質、注意点がきちんと書かれている商品を選ぶことが大切です。
受診・相談の目安
もの忘れが増えている、生活に支障が出ている、家族から見て明らかに様子が変わった。
このような場合は、サプリを試す前に医療機関へ相談してください。
特に次のような変化がある場合は、早めの相談をおすすめします。
・同じ話を何度も繰り返す
・約束や予定を忘れる
・料理や金銭管理が難しくなった
・薬の飲み忘れや飲み過ぎが増えた
・性格や行動が急に変わった
・幻覚や強い不安がある
認知症に似た症状は、薬の影響、うつ病、睡眠不足、甲状腺の病気、ビタミン不足などでも起こることがあります。
サプリで様子を見るより、原因を確認することが大切です。
まとめ|サプリは生活習慣の補助として賢く使う
認知症予防サプリについて整理すると、
・認知症を完全に予防できるサプリは、現時点ではない
・DHA・EPA、イチョウ葉、ビタミンB群、ビタミンDなどは脳の健康維持に関わる成分として知られている
・サプリは食事、運動、睡眠、社会参加、生活習慣病管理の代わりにはならない
・血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、DHA・EPAやイチョウ葉に注意する
・複数のサプリを併用すると、成分が重複することがある
・もの忘れや生活の変化がある場合は、サプリより先に医療機関へ相談する
サプリは、うまく使えば栄養補助として役立つことがあります。
ただし、「これを飲めば安心」と考えるのではなく、生活習慣を整えたうえで、不足しやすい部分を補うものとして考えてください。
薬を飲んでいる方、持病がある方、手術や抜歯の予定がある方は、サプリを始める前に医師や薬剤師へ相談しましょう。
※本記事は調剤薬局・在宅医療を経験した薬剤師による一般的な情報提供を目的としています。
症状が強い場合や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
サプリメントの使用、薬との飲み合わせ、持病がある方の使用については、必ず医師または薬剤師にご確認ください。
