「健診で血糖値が高いと言われたけど、何から始めればいいかわからない」
「食事制限?運動?どっちを先にやればいいの?」
「情報が多すぎて、逆に何もできていない」
薬局で、血糖値が気になり始めた方からこうした相談を受けることがあります。
血糖値対策でつまずく方の多くが、最初から完璧にやろうとしていることです。
血糖値対策は、全部を一気に変える必要はありません。
今日からできる小さなことを、ひとつずつ積み重ねることが大切です。
この記事では、血糖値対策は何から始めればよいか、まずはこれからという3ステップを薬剤師目線でお伝えします。
まずは、血糖値が上がる要因を整理
闇雲に対策を始める前に、まずは「何が血糖値を上げやすいのか」を知っておきましょう。
原因がわかると、どこから手をつければいいかが見えてきます。
| 原因 | 血糖値への影響 |
|---|---|
| 食事 | 糖質の量や食べ方で食後血糖が上がりやすくなる |
| 運動不足 | 筋肉が糖を使いにくくなり、血液中に糖が残りやすい |
| 睡眠不足 | ホルモンや自律神経の乱れで血糖値が下がりにくくなる |
| ストレス | 交感神経が高まり、血糖値が上がりやすくなる |
| 肥満 | インスリンの効きが悪くなりやすい |
食事、運動、睡眠、ストレス、体重。どれも血糖値には重要な要因です。
最初からすべてを変えようとすると途中で疲れてしまったり、諦めてしまったりするかもしれません。
まずは、取り組みやすいものから。おすすめは次の順です。
・ステップ1:食事を整える
・ステップ2:食後に少し動く
・ステップ3:睡眠を見直す
この3つだけでも、血糖値対策として始めるには十分効果的ではないかと思います。
ステップ1|まず食事の「食べ方」を変える
血糖値対策で最初に取り組みたいのは、食事です。
とはいえ、いきなり厳しい糖質制限をする必要はありませんし、つらいと感じる制限は続きません。
まずは「何を食べるか」よりも、「どう食べるか」から変えるのがおすすめです。
① 食べる順番を変える
今日から始めやすいのが、食べる順番を変えることです。
おすすめは次の順番です。
- 野菜、海藻、きのこ
- 肉、魚、卵、豆腐などのたんぱく質
- ご飯、パン、麺などの糖質
「ベジファースト」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
これは最初に食物繊維をとり、そのあとにたんぱく質、最後に糖質を食べることで、食後の血糖値の上がり方をゆるやかにしやすくすることを端的に表した言葉です。
野菜や海藻、きのこに含まれる食物繊維は、糖の吸収をゆるやかにする助けになります。
「食事内容を全部変えるのは難しい」という方でも、食べる順番なら今日から始めやすいです。
最近では「ミートファースト」(お肉類:タンパク質を最初に摂る)や「カーボラスト」(糖質を最後に摂る)といった言葉もみられるようになりました。
食べ始めるものは何であれ、ご飯などの糖質はおかずを先に食べ始めてから最後に食べ始めることをおすすめします。
② ゆっくり食べる
食事を早く食べることは、食後の血糖値が急に上がりやすくなる原因のひとつです。
また、満腹だと感じる前に食べ過ぎてしまう要因にもなります。
まずは、次のような工夫をしてみてください。
・ひと口ごとによく噛む(理想はひと口30回以上)
・途中で一度、箸を置く
・食事に20〜30分ほど時間をかける
「いつもより少しゆっくり食べる」を意識するだけでも、食べ過ぎを防ぎやすくなります。
③ 甘い飲み物を水かお茶に変える
この方法を取り入れてからみるみる血糖値が下がっていく方を多く目にしてきました。
血糖値対策で意外と大きいのが、飲み物の見直しです。
ジュース、スポーツドリンク、加糖コーヒー、甘いカフェラテなどは、思っている以上に糖分を含んでいます。
食事を気をつけていても、飲み物で糖をとっているケースは少なくありません。
まずは、
・普段摂る水分を水かお茶にする
・缶コーヒーを無糖にする
・スポーツドリンクを日常的に飲まない
・甘い飲み物を毎日から週数回に減らす
このあたりから始めてみてください。
血糖値対策の最初の一歩として、飲み物の変更はかなり取り組みやすい方法です。
ステップ2|食後10分だけ体を動かす
食事の次に取り入れたいのが、食後に少し体を動かすことです。
「運動」と聞くと、ジムや筋トレ、長時間のウォーキングを想像する方もいるかもしれません。
でも、食後の血糖値対策としては食後10分歩くだけでも効果的です。
① 食後に動くと血糖値が上がりにくくなる
食後は、食べたものが消化・吸収され、血糖値が上がりやすいタイミングです。
このタイミングで歩くと、筋肉が血液中の糖をエネルギーとして使ってくれます。
つまり、食後に軽く動くことで、血糖値の上がり方をゆるやかにしやすくなります。
食べてすぐ激しく動くと、むしろ消化によくないので避けましょう。
② まずは夕食後10分から
食後に動くことが血糖値対策になりますが、いきなり毎食後はハードルが高いと思います。
なのでまずは、夕食後10分から始めてみてください。
夕食後は、そのまま座ってテレビを見たり、横になったりしやすい時間帯ではないでしょうか。
ここで10分だけ動く習慣を作ると、食後血糖対策として効果的です。
外に出なくても、家の中で片付けをしながら立って家事をするだけでも違ってきます。
取り入れやすい例としては、
・その場足踏みを10分
・家の中を歩く
・階段をゆっくり上り下りする
・かかと上げをする
・立って家事をする
「運動する時間を作る」より、「食後に少し動く」と考えるほうが気楽で長続きします。
ステップ3|睡眠を見直す
食事と運動を頑張っているのに血糖値が下がりにくい方では、睡眠不足が隠れていることがあります。
血糖値と睡眠は、意外に深くつながっています。
① 睡眠不足は血糖値を下がりにくくする
睡眠不足になると、コルチゾールなどのストレスホルモンが増えやすくなります。
コルチゾールは、血糖値を上げる方向に働くホルモンです。
また、睡眠不足が続くと、インスリンの効きが悪くなりやすいことも知られています。
インスリンは、血液中の糖を細胞に取り込ませるホルモンです。
この働きが弱くなると、同じ食事をしていても血糖値が下がりにくくなります。
② まずは今より30分早く寝る
理想は7~8時間の睡眠を確保することです。
ですが、これまで6時間前後の睡眠をしていた方が、いきなり生活を大きく変えるのは難しいと思います。
なのでまずは、今より30分早く寝ることから始めてください。
そのためには、寝る前の過ごし方を少し見直すことが大切です。
・寝る前のスマホを短くする
・夜遅い食事を避ける
・寝酒を習慣にしない
・休日の寝だめをしすぎない
・朝起きたら光を浴びる
睡眠を整えることは、血糖値対策だけでなく、食欲や体重管理にもつながります。
「全部満遍なくやる」より「ひとつ続ける」
血糖値対策で大切なのは、完璧にやることではありません。
続けられる形にすることです。
血糖値対策は、今日ひとつ変えるだけでも十分な一歩です。
ひとつできると、次の行動につながりやすくなります。
最初におすすめしたいのは、次のどれかひとつです。
・野菜を先に食べる
・甘い飲み物を水かお茶に変える
・夕食後に10分歩く
・今より30分早く寝る
この中から、いちばん簡単そうなものを選んでください。
血糖値の薬を飲んでいる方・受診を悩んでいる方へ
血糖値対策では、生活習慣の見直しが大切です。
ただし、数値によっては、生活習慣だけで様子を見るより医療機関で確認したほうがよい場合があります。
① 薬を飲んでいる方も生活習慣は大切
すでに糖尿病の薬を飲んでいる方も、食事、運動、睡眠の見直しは大切です。
薬は血糖値を下げる効果が、生活習慣が乱れていると薬の効果が十分に出にくいことがあります。
薬はあくまでも健康の助けになるものです。
「薬を飲んでいるから大丈夫」ではなく、「薬と生活習慣を一緒に整える」と考えてください。
一方で、薬を自己判断で減らしたり中止したりするのは危険です。
数値がよくなってきた場合も、必ず主治医に相談してください。
② 早めに受診したほうがよい場合
次のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。
・健診で血糖値が高いと言われた
・空腹時血糖が126mg/dL以上だった
・HbA1cが6.5%以上だった
・のどの渇きや頻尿がある
・体重が急に減った
・強いだるさが続く
・生活習慣を見直しても数値が改善しない
血糖値は、高い状態が続いても自覚症状がないことが多いです。
「まだ症状がないから大丈夫」と放置せず、健診で指摘された場合は一度確認しておくと安心です。
まとめ|今日から、ひとつだけ変えてみる
血糖値対策の始め方について整理すると、
・血糖値対策は、食事、運動、睡眠を一気に変えなくていい
・最初は食事の「食べる順番」と「飲み物の見直し」から始めやすい
・食後10分歩くことで、食後血糖値の上がり方をゆるやかにしやすい
・睡眠不足は血糖値を下がりにくくするため、今より30分早く寝ることから始める
・完璧を目指すより、ひとつ続けるほうが3か月後の数値につながりやすい
・健診で血糖値が高いと言われた場合や、症状がある場合は医療機関に相談する
血糖値対策は、特別なことを一気に始める必要はありません。
まずは、今日からひとつだけ変えてみてください。
食物繊維、タンパク質から先に食べて、後から糖質を摂る。
甘い飲み物を水やお茶に変える。
夕食後に10分歩く。
30分早く寝る。
その小さな一歩が、次の行動につながります。
※本記事は調剤薬局・在宅医療を経験した薬剤師による一般的な情報提供を目的としています。
症状が強い場合や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
血糖値の管理、糖尿病治療薬の使用・変更・中止については、必ず主治医または薬剤師にご相談ください。
