「血糖値が高いから白米は控えてます」

こういう方、薬局でもよくお会いします。でも、白米を完全に避けなくても大丈夫です。

大切なのは「食べるか食べないか」より「どう食べるか」です。

調剤薬局・在宅医療を経験した薬剤師として、血糖値が気になる方から食事の相談を多く受けてきました。白米をやめて「何を食べたらいいかわからない」と混乱してしまう方、ストレスで逆に食生活が乱れてしまう方を何人も見てきました。


① 白米が血糖値を上げやすい理由

GI値が高く、食後血糖値が上がりやすい

白米はGI値が約84と高く、食後に血糖値が上がりやすい食品です。

精米の過程で食物繊維・ビタミン・ミネラルが除去されるため、糖質の割合が高い状態になっています。これが血糖値スパイクを起こしやすい原因です。

「悪い食品」ではない

白米はGI値が高いものの、「悪い食品」ではありません。日本人が何千年もかけて育ててきた主食で、ビタミンB群・マグネシウムなどの栄養素も含まれています。

白米そのものより、食べ方と量のコントロールのほうが血糖値への影響は大きいです。


② 白米を食べながら血糖値を管理する3つの方法

方法①食べ順を徹底する

野菜・汁物→たんぱく質のおかず→白米(最後)という順番で食べると、食物繊維とたんぱく質がすでに腸内にあることで糖の吸収が緩やかになります。白米を最後に食べるだけで、食後血糖値の上昇が10〜30%程度抑えられると研究で報告されています。

方法②量を「少し減らす」くらいでOK

ドカ食いしなければ、白米を完全にやめる必要はありません。1食あたりの目安は以下の通りです。

状況1食あたりの白米の目安
通常の成人150g(茶碗1杯)前後
血糖値が気になる方100〜120g(茶碗0.7〜0.8杯)程度
HbA1c 6.5%以上で医師の指示がある方医師・管理栄養士に相談

「いつもより少し少なめ」を意識して、また、同じ量の白米でもゆっくり食べたほうが血糖値の上昇が穏やかになります。

方法③もち麦や雑穀を混ぜる

白米にもち麦や雑穀を混ぜるだけで、食物繊維が増えてGI値が下がります。

白米のみの場合と食感の違いはありますが、苦手でなければ何かを我慢したりすることなく食物繊維を取り入れられるためおすすめです。


③ 白米の代替・低GI主食の選び方

食品GI値目安特徴
もち麦入りごはん約65白米に混ぜるだけ。食感◎で続けやすい
玄米約56栄養豊富・食べ応えあり。硬さに慣れが必要
オートミール約55短時間調理・食物繊維が多い。洋食・和食どちらでも
全粒粉パン約50パン派の方へ。小麦の表皮・胚芽ごと製粉したパン
もち麦ごはん(白米ゼロ)約35血糖値をより抑えたい方向けだが独特の食感

急に変えると違和感を覚えてしまうかもしれないので、「白米100%→もち麦2〜3割混合→もち麦5割混合」という段階的な移行のほうが満足感を損なうことなく続けられるはずです。

冷やしたご飯のほうがGI値が低い

白米を冷やすとレジスタントスターチ(消化されにくいでんぷんの形態で、食物繊維に近い働きをする)が増え、GI値が下がることが知られています。温かいご飯より冷やしたご飯のほうが血糖値が上がりにくいため、自炊や節約も兼ねて昼食におにぎりやお弁当を持っていくと一石二鳥ですね。


④ 白米の量はどのくらいがよい?目安と注意点

夕食後の糖質量に注意

血糖値への影響は、食べるスピードに左右されることがあります。よく噛んで時間をかけると食後血糖値の上昇が穏やかになります。

目的・活動量1日の白米量1食あたり(3食の場合)
減量したい・活動量が少ない300〜450g100〜150g
体重維持・通常の活動量450〜600g150〜200g
立ち仕事・運動・増量目的600〜750g200〜250g

また、インスリンの働きは夜間に低下しやすいため、夕食の白米量はとくに意識してください。

「やめる」より「減らす」が続けやすい

「白米をゼロにする」という目標は外食・家族との食事・冠婚葬祭の場などで例外が生まれるたびに「また失敗した」という感覚につながります。「いつもより少し少なめにする」「週に2〜3回は雑穀ご飯にする」くらいから始めてみましょう。


⑤ 「白米(糖質)完全抜き」のデメリット

ストレスが血糖値に跳ね返る

白米(糖質)を抜いて食事でのストレスが溜まると、血糖値管理に逆効果が出ることがあります。患者さんの中には、食事制限のストレスで間食が増えてしまう方も少なくありません。

代替品の糖質量に注意

「白米をやめた代わりに」という理由で選ばれやすい食品の中にも、GI値が高いものがあります。

白米の代わりに使いがちな食品注意点
加糖のシリアル・グラノーラ砂糖が多くGI値が高いものがある
白いパン・フランスパンGI値は白米より高い(約95)
もちのみのおかゆ(薄め)水分が多いがGI値が下がるわけではない

特に牛乳をかけて食べるような甘くてお手軽なシリアルは食物繊維や鉄分、ビタミンは比較的多く含まれてますが、チョコ味や砂糖がコーティングされているような商品は血糖値が上がりやすく、ついつい量を多く食べてしまいやすい点には注意が必要です。


⑥ 薬局で出会った患者さんのエピソード

在宅医療で訪問していた70代の女性のことです。糖尿病で定期通院されていましたが、足が悪くなり自身で通えなくなってしまいました。昔から健康で立ち仕事だったため、3食欠かさずに食べて、お腹が空くと間食をよくしていたそうです。糖尿病になってもなかなか食生活を変えられず、ついには体重やひざを痛めてしまった影響で歩くのがつらくなってしまいました。その方のご自宅へ訪問するたびに薬の確認と生活状況の確認をしていました。ある日、いつも明るい方なのに表情が暗く、「最近、食事が全然おいしくなくて」とおっしゃっていました。

理由を聞くと、「先生に白米はダメと言われて、夫が作ってくれるご飯を食べられなくなったんです」とのことでした。毎食夫が作る白米と手作りのおかずが楽しみだったけれど、それを全部やめなければならないと思っていたようでした。「夫に毎回特別なものを作ってもらうのも申し訳なくて…」と目が少し潤んでいました。

「白米を完全にやめる必要はないかもしれません」とお伝えしました。主治医の先生の指示をまず確認しつつ、白米にもち麦を少し混ぜる方法と、副菜やみそ汁を先に食べる食べ順についてご説明しました。「もち麦を混ぜるだけなら、主人にも頼みやすい」と少し表情が明るくなりました。

次の訪問のとき、「もち麦ごはんにして、食べ方を変えてみたら、血糖値もそこまで悪くなかったって先生に言われました。」と笑顔で話してくれました。


まとめ|「食べ方の工夫」で白米と上手に付き合う

白米と血糖値の関係についてまとめると、

  • 白米はGI値約84と高く食後血糖値が上がりやすいが、精米で食物繊維が除かれていることが主な原因であり、食べ方の工夫で対応できる
  • 食べる順番・量を少し減らす・もち麦を2〜3割混ぜる、この3つで食後血糖値に変化あり
  • もち麦を混ぜるとβグルカンによるGI値低下と食物繊維増加が得られ、続けやすい
  • 白米と抜くとストレスによるコルチゾール増加で逆効果になりやすく、「少し工夫して長く続ける」ほうが血糖管理には合っている

※本記事は調剤薬局・在宅医療を経験した薬剤師による一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や薬については、かかりつけの薬剤師・医師にご相談ください。